論文ベースで考えるダーツ上達プロセスと身体への言語
ダーツ上達のプロセスについて、さまざまな考え方があり、どのような意見を参考にしたら良いか迷うこともしばしばあります。
今回は上達のプロセスと言語の関係をまとめた論文を紹介します。これを元に考察してみましょう。
論文はダーツ未経験者が8ヶ月間に渡り練習を行った結果をまとめたものです。その8ヶ月の間に実験対象者は練習の中で気付いたこと、気をつけるべき点などをノートに随時まとめました。
8ヶ月間のうち、6ヶ月間はカウントアップで400点周りをうろうろしていましたが7ヶ月目には500点を平均的に出すようになりました。論文の中でこちらを『ブレイク期』と定義し、その過程を観察しています。『ブレイク期』前の6ヶ月間にもスコアが一時的に上昇する『局所的ピーク』が4度ありました。この『局所的ピーク』には共通点があり、『局所的ピーク』を迎える直前にノートに書いている言葉が増加していました。さらに言えば、『ブレイク期』を迎える直前にはそれまでにはないほど言葉の量が増加していたのです。
これだけでも上達することと認知的言語が無関係でないことは見て取れます。さらにギブソンという生態心理学者によると、『新たな変数の発見こそが学習において最 も重要である』と説いています。新たな変数というのは、環境や身体に対する新たな気づきであり、今回で言うところのノートに気づいた点をメモすることを指します。
論文ではさらにノートの言葉に着目し、詳細度を検証しました。
詳細度を5段階に分けました。その詳細は以下です。
詳細度1 : 身体全体
詳細度2 : 上半身・下半身
詳細度3 : 腕・脚・腰
詳細度4 : 手のひら、手首、膝、肩、太もも、膝
詳細度5 : 手の指、足の指
これを8ヶ月間の練習の時系列に落とし込み検証します。この詳細度の観点は大きな発見をします。詳細度が低い記述が増えるフェーズと詳細度が高い記述が増えるフェーズが交互に訪れていました。そして、これを9ヶ月間のスコアの時系列グラフに照らし合わせると詳細度が低い記述が増えるフェーズの直後に『局所的ピーク』もしくは『ブレイク期』が起きていました。つまり、指先の細かい意識を終え、大雑把な身体全体への意識が高まるとスコアが上がっていたのです。
この実験はボーリングでも行われ、同様の結果が得られました。これらの実験により身体的上達プロセスが明らかになったわけではありませんが、結果は事実です。
この結果から様々な推察ができるます。細かい意識を自分の身体の動きに落とし込み、意識しすぎることなく、ダーツを投げることが高いスコアを引き出すコツの一つ、さらには上達のコツの一つと言えるかもしれません。
参考文献:
◆パフォーマンスは言葉に表れる メタ認知的言語化によるダーツ熟達プロセス
諏訪正樹・高尾恭介 著
https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2007/data/pdf/100138.pdf
◆身体スキル獲得プロセスにおける身体部位への意識の変遷
諏訪正樹・伊藤大輔 著
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI06/0/JSAI06_0_129/_pdf
◆ギブソンの知覚理論 豊泉俊大 著
http://kyosei.hus.osaka-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/111-132note_toyoizumi.pdf
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